資料 オーストラリアの米作り

(1) 生産地  
 オーストラリアの米は、シドニーの南西600キロに位置するニューサウスウェールズ(NSW)州・リバリナ地方の3地域(マラムビジー、コレアムバリー、マリー・バレー)で、すべて生産されています。リートンは、その中心地です。

(2) 生産者
 米作農家は、全部で約2000戸で、「オーストラリアン・ライス生産者組合」を作っています。組合は、米および米加工品の生産から集荷、貯蔵、精米、パッケージング、販売、輸出までを一貫して管理しています。

(3) 生産量
 オーストラリアの米は、1年1作で、毎年12万〜14万ヘクタールで栽培され、100万トン以上が生産されます。オーストラリアは、1ヘクタールあたり8〜9トンを生産する、世界でも最も高い収穫率を上げる国の一つです。

(4) 品種
 オーストラリアで生産される米の75%は、日本の米の味ににたジャポニカ系の中粒種です。残り25%は、香り米をふくむインディカ系の長粒種です。

(5) 生産システム(輪作体系)
 オーストラリアの米作りは、4年から7年のユニークな輪作体系のもとで行われます。5年輪作を例に取ると、牧草・米・米・小麦(大麦)・休耕。この輪作体系は、家畜のふんにょうや牧草根のもつ肥料分を土の中に蓄え、稲の成長を助けます。また、雑草がはびこるのを防ぎ、作物が病気にならないようにする効果もあります。

(6) 収穫期  
 耕作は、9月初旬の種まきから始まります。収穫は、2月下旬から5月にかけて行います。このころ、日本では田植えの時期です。南半球のオーストラリアの米は、新米の時期が日本とちょうど半年違うわけです。

(7) 安全性重視(ミニマム農薬方式)
 栽培中に使う農薬と化学肥料は、最低限度におさえられています。これを可能にしているのは、リバリナ地方の高温乾燥気候と、輪作システム、および厳格な防疫法で、稲は最低限の農薬で病気の危険から守られています。

(8) 精米
 「オーストラリアン・ライス生産者組合」は、徹底した品質管理に力を入れています。精米工場は6つあり、日本製精米機を導入した最新のコンピュータ・システムのもと、破砕米の割合など、8項目も品質基準がクリアされているかどうか1時間ごとにチェックするなど、きめ細かい品質管理体制をしいています。

(9) 米の味
 オーストラリア産ジャポニカ系の米は、日本のたくさんの消費者からも「おいしい」と高い評価を得ています。

(10) 流通
 精米された米は、2千種をこすパックサイズとブランド名で、国内および海外へ出荷されています。海外へは、赤道を越える輸送の工夫をし、毎年、生産量の90%以上を50〜60か国へ輸出しています。

※オーストラリアン・ライスのルーツは日本の米です。  
 オーストラリアの米作りは、1905年(明治38年)四国愛媛県の松山市出身の高須賀穣(1865年・慶応5年)イチコ夫婦がビクトリア州に移民し、日本の米をまいたのが始まり。
 1914年に商業生産を始め、洪水や干ばつなど数々の困難を克服し、10年後の1924年に商業ベースにのせることに成功しました。
 高須賀穣の子孫は、今もビクトリア州スワンヒルに住んでいます。