オーストラリアの季節

オーストラリアの天気

夏と冬の気圧配置

クールチェンジ

1.オーストラリアの季節

 オーストラリアは南半球にあるため、日本とは季節が逆になります。

 また、オーストラリアには熱帯から温帯までの広がりがあり、メルボルンは温帯に属し周囲をとりまく大洋の緩和作用と、大きな連山がないことから世界の他の地域に比べて年間の寒暑の差はそれ程なく、空がよく晴れていて雨が少ないのが特徴です。

 年間の平均気温は大陸の最北端では27℃、最南端で13℃と幅があります。また、1月と7月の平均気温が北部ではそれぞれ29、24℃とあまり差がありませんが、南部では18、10℃と少し寒暑の差があります。

 オーストラリアで最も寒い地域はタスマニア州の山岳高原地方と、オーストラリア大陸の南東部で、この辺りにのみ例年積雪があり、冬期の気温がしばしば氷点下に下がります。

 この国の全体を通してもっとも暑いのは1月ですが、タスマニアとビクトリア州南部では2月、北部沿岸周辺では11月です。

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2.オーストラリアの天気

(1)高気圧・低気圧と風の動き

  オーストラリアは南半球にあるので、大気の動きが北半球とは少し違います。具体的には地球の自転の影響(コリオリ力)で、低気圧では右回りに風が吹き込み、高気圧では左回りに風が吹き出します。

 けれども、高気圧や低気圧の動きは日本と同じで西から東へ移動します。アデレードの天気が次の日のメルボルンの天気だといわれています。

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(2)前線

 メルボルンは南極に近いので、南極からの冷たい空気がやってくることが多く、寒冷前線が多く通過します。日本の低気圧のように、寒冷前線と温暖前線の両方を伴っていないので、温暖前線がやってくることはほとんどありません。けれども、9月〜3月頃にみられることもあります。

(3)台風

 12月〜3月頃赤道付近で発生した熱帯低気圧(サイクロン、ウィリー・ウィリー)も、最初はコリオリ力によって南西に向かいますが、南緯30度付近から偏西風の影響を受けて南〜南東に進路をかえ、メルボルンに来ることはまれです。

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3.夏と冬の気圧配置

 一般的に、夏はオーストラリア大陸が低気圧帯に入り、海洋から大陸にかって風が吹きます。特に大陸北岸や東岸では、貿易風による東よりの海洋からの湿った風がグレートディバイディング山脈の東側にぶつかり雨を多く降せ、雨期に入ります。また、メルボルンでも偏西風による西よりの風が吹きまが、大陸内部の乾燥した地域を通ってくるため空気が雨を降らせるのに十分な湿り気を失ってしまったり、オーストラリアアルプスにまで届くことが少ないので、雨はそれほど降りません。

 一方、冬はオーストラリア大陸が高気圧帯に入り、大陸から海洋に向かう風が吹きます。そのため雨が少なくなり乾期に入ります。けれども、メルボルンは南極に近いために寒冷前線の活動が活発になり、雨量はそれほどでもありませんがシャワーの多い時期になります。

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4.クールチェンジ(Cool Change)

 メルボルンの特徴的な天気のひとつにクールチェンジがあります。

 高気圧がメルボルンの東にあると(図1)、高気圧から左回りに風が吹き出すために、大陸からの熱い北風が吹いてメルボルンの気温は上昇します。しかし、その高気圧がもっと東へ移動し次の高気圧がアデレード付近にやって来ると(図2)、高気圧から左回りに吹き出す風にのって、南極海からの冷たい空気がやって来るためにメルボルンの気温は一気に下がります。これがクールチェンジです。この時、高気圧と高気圧の間に、寒冷前線を伴った低気圧があると、この気温の変化が激しくなり、雷雨やヒョウを伴うこともあります。

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図1 1988.11.13の気圧配置

 

 

図2 1988.11.14の気圧配置

 

大陸からの熱い北風が吹き、この日メルボルンは36℃まで気温が上がりました。 西から寒冷前線と共に、冷たい南極海からの空気がやってきて、気温は一気に18℃まで下がり ました。クールチェンジです。(このとき、メルボルンには雷雨がありました。)